社長も社員も知っておきたい労働基準法。優しく解説していきます。
労働基準法第6条を解説します。
労働基準法第6条は、以下の通り定められています。
「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」
この条文は、労働者と使用者の間に入り、就職のあっせん等を行うことによって、多額の仲介手数料を搾取する等の行為を排除することを目的としています。
ここで言う「法律に基いて」の「法律」とは、職業安定法、船員職業安定法等を指します。
「業として」とは、「営利を目的として、同種の行為を反復継続すること」を言います。
また、たとえ1回の行為であったとしても営利目的で反復継続する意思がある場合は、「業」とみなされ、本条違反となります。
「利益」とは、金銭以外の財物を含み、有形無形を問いません。また、使用者から得られる利益に限らず、労働者又は第三者より得る利益も含まれます。
つまり、第三者が他人の労働関係に介入して何らかの利益を得ることは、手段、利益の出所を問わず、原則として認められないということです。
ここで、「労働者派遣」との関係を見ておきましょう。
昭和61.6.6基発第333号より。
「労働者派遣については、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたもの全体が当該労働者の労働関係と なるものである。したがって、派遣元による労働者派遣は、第三者が他人の労働関係に介入するものでなく、本条の中間搾取には該当しない。」
とされています。
つまり、労働者派遣は、本条違反には、あたりません。
最後に、罰則について。
本条違反に該当した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられます。
これは、第5条(強制労働の禁止)違反に次ぐ、重い罰則です。
労働基準法第13条を解説します。
労働基準法第13条は、以下の通り定められています。
「労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、労働基準法で定める基準による。」
これは、労働基準法を労働契約より上位に置くことで、労働者保護を図る趣旨の規定です。
たとえば、会社と労働者が「残業代は支払わない」という労働契約を結んだとしても、これは労働基準法違反ですから無効となります。
つまり、会社は残業代を支払わなければなりません。
また、1日の労働時間を10時間とする労働契約を結んだとしても、労働基準法での決まりは1日8時間ですから、この部分は無効となり、8時間で契約したとされます。
このように、無効となるのは労働基準法に達しない労働条件を定めている部分のみとなりますので、残りの部分は有効です。
労働基準法第15条を解説いたします。
第1項
「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」
労働契約そのものは口頭で成立しますが、後々のトラブルを防ぐため、労働契約の内容を労働者に明示する義務を使用者に負わせました。
さらに重要事項については、書面での交付を義務づけています。
なお、必ず明示しなければならない事項と定めをしたら明示しなければならない事項が以下の通り定められています。
【必ず明示しなければならない事項】
・労働契約の期間に関する事項
・就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
・賃金の決定、昇給等に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む) など
【定めをしたら明示しなければならない事項】
・退職金の定めが適用される労働者の範囲等に関する事項
・賞与等に関する事項
・休職に関する事項 など
労働条件通知書あるいは労働契約書等でしっかりと労働条件の確認をしておくことが重要です。
第2項においては、
「第1項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」
と規定され、労働者に労働契約解除権を認めています。
労働基準法第19条について解説いたします。
労基法では、以下の場合においては、解雇を禁止しています。
①労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
②産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間
病気療養中などに解雇をすれば、解雇された労働者は就業活動ができないですから、それを防ぐ趣旨です。
ただし、例外があります。以下の場合においては、解雇をすることができます。
①打切補償を支払う場合(平均賃金の1,200日分を支払った場合)
②天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合+行政官庁の認定
なお、事業主の故意や過失ではなく、事業場が火災で焼失した場合などが「やむを得ない事由」に該当し、事業経営の見通しの甘さから金融難に陥った場合などは「やむを得ない事由」には該当しません。
~参考~
以前は法18条の2として、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
という規定がありましたが、現在は労働契約法に定められています。
解雇制限に抵触しないからといって、むやみやたらに解雇が認められているわけではありません。
労働基準法第20条について解説いたします。
労基法第20条では、労働者を解雇するにあたり、労働者の生活の保護等の観点から、原則として、少なくとも30日以上の猶予期間(予告)か30日分の賃金を支払うことを使用者に義務付けています。
民法第627条では、2週間前に申し出れば、雇用契約を解約できることになっていますが、使用者においては、労働基準法で、民法を上回る30日前の予告が既定されているのです。
解雇予告期間と解雇予告手当を併用することも可能です。
例えば、10日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払い、20日前に解雇予告をすることは、問題ないということになります。
解雇予告をした労働者を解雇予定日を過ぎて、使用してしまった場合で、その労働者を解雇する場合は、改めて解雇予告をしなければなりません。(当初の解雇予告は、効力を失うと解されます。)
なお、解雇の意思表示は、相手に到達することにより効力が発生するので、文書等で明確に示すことが望ましいとされています。