団塊の世代が後期高齢者となる2025年が目前。もう1年を切りました。
2025年問題の1つ、企業の重責を担っている団塊ジュニアの介護離職の増加が懸念されています。高齢になるほど介護が必要となる可能性は高まりますが、その時期は誰にも分かりません。突然親の介護に直面して、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
両親がある程度の年齢になったら、介護に直面することを想定しておくことが必要です。
身近な家族に介護が必要となったときに慌てないよう、介護サービスの種類や利用申請手続きについての概要は知っておきましょう。
わが国の介護事業所数は?
介護の社会化を目指して創設された介護保険制度。2000年にサービスが開始されてから20年以上が経過しました。その間、高齢化はまれにみるスピードで進行し、介護事業所も増加しています。
介護サービスは大きく在宅系と施設系に分けられます。
厚生労働省「令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況」から、令和4年 10 月1日現在の介護サービスの事業所数をみてみると、いわゆる在宅サービスは訪問介護が 36,420 事業所、訪問看護ステーションが 14,829 事業所、通所介護(デイサービス)が 24,569事業所などとなっています。
全国のコンビニエンスストアの数が約56,000店舗ですから、訪問介護とデイサービスの事業所を合わせるとコンビニの数を抜きます。介護事業所もコンビニ同様、身近な存在になったといえるでしょう。
施設系では、介護老人福祉施設(特養)が8,494施設、介護老人保健施設が 4,273 施設、介護医療院が 730施設、介護療養型医療施設が300 施設となっています。
在宅サービスの種類は?
家族に介護が必要となった場合、まずは在宅サービスの利用を検討するのが一般的です。
主な在宅サービスは次の通り。
訪問介護 | ホームヘルパーが入浴、排せつ、食事などの介護や調理、洗濯、掃除等の家事を行う |
訪問看護 | 看護師等が清潔ケアや排せつケアなどの日常生活の援助や、医師の指示のもと必要な医療の提供を行う |
福祉用具貸与 | 車いすや介護ベッドなどの福祉用具をレンタルする |
通所介護 (デイサービス) | 食事や入浴などの支援、心身の機能を維持・向上するための機能訓練などを日帰りで提供する |
通所介護 (デイサービス) | 日常生活の自立を助けるために理学療法士や作業療法士などが施設や病院でリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図る |
その他、施設などに短期間宿泊して、食事や入浴などの支援を受けるショートステイなどのサービスもあります。ショートステイは介護者の介護疲れを軽減するためにも利用されます。
サービスの利用を開始するには?
介護保険の被保険者は、65歳以上の方(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの医療保険加入者(第2号被保険者)に分けられます。
これらの被保険者が要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを利用できます。ただし、40歳から64歳までの方は、要介護(要支援)状態が老化に起因する疾病(特定疾病)による場合に限定されます。
特定疾病とは、がん(医師が一般に認められている知見にもとづき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)、関節リウマチ、初老期における認知症などをいいます。
介護サービス利用の流れは次の通り。
ケアプランとは、利用者の心身状態や家庭の状況を踏まえ、サービスの種類や内容、利用頻度などを決める計画書のことをいいます。介護サービスは必ずケアプランに沿って提供されるので、本人や家族の希望を正確に伝え、適切なケアプランを作成することが重要です。
介護離職の防止に向け、介護休業や介護休暇、短時間勤務などの制度が法的に設けられています。家族に介護が必要となった場合、すべてを自分で対応しようとは考えずに、ケマネジャーや会社などと相談しながら、介護と仕事の両立を可能とする環境を整えていきましょう。