1. はじめに:高齢化と単独世帯の増加が示すリアル
「お母さん、一人で大丈夫かな…」「将来、もし自分が一人になったら?」
そんな不安を抱えたことはありませんか?
少子高齢化と核家族化が進む日本では、「おひとりさま」で老後を迎える高齢者が急増しています。親世代だけでなく、40代・50代の私たち自身にも関わる問題です
今回は、高齢者の生活を支える「生活支援サービス」や「終身サポート」について分かりやすく解説していきます。
2. データで見る高齢者の暮らしの変化
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によると、2023年時点で、65歳以上の高齢者がいる世帯は全体の約半数、2,695万世帯にも上ります。そして注目すべきは、そのうちの51.6%が単独世帯、つまり一人暮らしという事実です。
以下は、高齢者の単独世帯数の推移です
| 年度 | 単独世帯数 | 
|---|---|
| 昭和61年 | 128万1千世帯 | 
| 平成10年 | 272万4千世帯 | 
| 平成22年 | 501万8千世帯 | 
| 令和元年 | 736万9千世帯 | 
| 令和5年 | 855万3千世帯 | 
この30年で、単独世帯は約7倍に。高齢者が「一人で暮らす」ことが、もはや特別ではない時代です。
3. 「おひとりさま」の生活で起こるリアルな困りごと
高齢になると、体力や判断力の低下により、日常生活での小さなことが「困りごと」になります。
- 通院や買い物に誰かの付き添いが必要
 - 入院や介護施設入所時に、保証人がいない
 - 緊急時に連絡してくれる人がいない
 - 万一亡くなった時の葬儀や遺品整理を頼める人がいない
 
こうした課題に対応するために、近年は「終身サポート事業者」が増えています。
4. 注目される「終身サポート事業者」の役割とは
「終身サポート事業者」とは、高齢者が家族や親族の代わりに日常生活を送れるよう支援してくれる民間サービス事業者です。サービス内容は事業者によって異なりますが、主に以下の3つが柱となっています。
5. 高齢者生活支援サービスの具体的な内容
① 日常生活支援サービス
- 通院の送迎や付き添い
 - 買い物や役所手続きの代行
 - 緊急時の連絡対応 など
 
② 身元保証サービス
- 入院・施設入所時の保証人代行
 - 医療・介護の意思決定サポート
 - 緊急時の連絡先対応 など
 
③ 死後事務サービス
- 遺体引き取り、葬儀手配
 - 遺品整理、住居の原状回復
 - 行政手続きの代行 など
 
「家族がいなくても安心して暮らす」ためのセーフティネットとなりつつあります。
6. サービス選びのポイントと注意点
安心できる支援を受けるには、サービス選びが非常に重要です。しかし実際は、内容や契約条件、料金が事業者によってバラバラで、不透明な契約や高額な料金でトラブルになるケースもあります。
契約前に必ず以下の点を確認しましょう
- どんなサービスが含まれているか
 - 契約期間・解約条件・返金の有無
 - サービス対象外の内容
 - 支払方法と総額の見積もり
 - 事業者の信頼性(実績・体制)
 
7. 国が定めた「終身サポート事業者ガイドライン」とは
こうした背景から、2024年6月に厚生労働省が「ガイドライン」を発表。悪質な事業者とのトラブルを防ぎ、利用者が安心してサービスを受けられるように、事業者に対して以下の情報開示を求めています。
- 組織概要や人員体制
 - 財務情報
 - サービス内容と料金体系
 - 契約の変更・解約条件
 - 預託金や遺贈・寄付の管理方針
 - 個人情報の保護体制 など
 
ガイドラインにはチェックリストも付いているため、契約前に活用することをおすすめします。
8. 支払い能力と老後資金とのバランスをどう考えるか
サービス内容に納得しても、忘れてはならないのがコストの問題です。
例えば、終身で支援を受けると想定しても、「あと何年生きるか」は誰にも分かりません。平均余命や資産状況を踏まえて、以下の観点で検討を。
9. 家族・親族と一緒に考える「契約」のあり方
たとえ「おひとりさま」でも、契約や老後のことを一人で決める必要はありません。
- 兄弟や親族、信頼できる知人
 - 専門家(FP、弁護士、行政書士など)
 - 民間の無料相談窓口(地域包括支援センター など)
 
また、契約内容や緊急連絡先を紙で残し、見える場所に保管することも重要です。将来の安心を得るためにも、周囲の力を借りることは、むしろ必要な選択です。
10. まとめ:今から準備できる「安心して老いる」ための一歩
高齢化と核家族化が進む中で、「老後の暮らしをどう支えるか」は、すべての世代の課題になりつつあります。
40代・50代の私たちは、
- 親のサポート体制を整える
 - 自分自身の将来の備えを始める
 
という両面の視点が求められています。
まずは、情報収集から。そして信頼できる相談先とともに、自分に合った支援のかたちを探していきましょう。
 
