日本人は働き過ぎだといわれます。
長い人生、走り続けていては体がもちません。
今年4月から、長時間労働の規制などが盛り込まれた働き方改革がスタートしていますが、その一環として、年次有給休暇に関する新たな取組みも始まりました。
働き方改革は、休み方改革ともいえます。
年次有給休暇とは?
年次有給休暇は、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、法定休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与える制度」(厚生労働省)です。
労働者が「この日に年次有給休暇を使って休みたい」と会社に申し出れば、原則として、その日に休むことができます。
会社は、労働者の指定する日に休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の日にしてくれないかといえるだけです。
年次有給休暇の付与要件は2つ。
入社から6か月間継続勤務することと、その期間、8割以上出勤することです。
要件を満たせば、その労働者には10日の年次有給休暇が与えられます。
その後、1年間継続勤務し、出勤率が8割以上であれば、新たに11日付与されます。このように、年次有給休暇は入社日から半年後を基準として、一定日数が与えられる仕組みとなっています。
使いきれなかった年次有給休暇は1年間に限り繰り越せます。
例えば、入社1年目に付与された10日のうち5日しか使わなければ、残りの5日は翌年に使えます。この場合、年次有給休暇は新たに付与された11日とあわせて16日となります。
ちなみに、年次有給休暇はパートやアルバイトにも認められています。
1週間の労働時間や勤務日数によって付与される日数が決められていて、例えば、週1日の勤務でも年次有給休暇は1日付与されます。
伸び悩む有給取得率
年次有給休暇は法律で定められているものですから、要件を満たせば与えられます。しかし、付与はされても実際には使えないというのが現状です。
年次有給休暇の取得率等の推移をみてみましょう。
平均取得日数は10日に届かず、取得率はようやく5割を上回っている状況です。
「心身の疲労を回復させ」たり、「ゆとりある生活の実現にも資する」という目的を十分に果たしているとはいえません。
データは平均日数ですから、1日も取れなかったり、数日しか取れていない方もいるはずです。
そこで、働き方改革では、労働者が確実に年次有給休暇を取得できるよう新たなルールを定めました。
これにより、会社は10日以上の年次有給休暇がある労働者には希望日を聞いて、年に5日は必ず取得させなければならなくなりました。
従来、労働者に年次有給休暇が付与されても、使わなければ労働者が権利を行使しなかったという扱いでした。
しかし、今年4月からは、労働者に取得させることが会社の義務となったのです。
時間単位での取得は?
年次有給休暇は1日単位での取得が原則です。
しかし、子育てや介護など、様々な事情に応じて柔軟に休暇が取得できるよう、会社によっては半日単位や時間単位での年次有給休暇制度を導入しています。
時間単位の有給制度を導入している企業の割合は18.7%(厚生労働省「平成29年就労条件総合調査の概況」より)とまだまだ多くはありませんが、年次有給休暇の取得促進や、ワークライフバランスのさらなる進展という流れの中、今後、導入企業が増えていきそうです。
求人サイト等において、有給取得率の高さをアピールする企業が多くみられるようになりました。
少子高齢化時代を迎え、多様な働き方が注目されていますが、これからは多様な休み方も関心を集めるのではないでしょうか。