給与計算ってどうやるの?社会保険制度の基礎を学ぼう 介護保険の全体像

介護保険は2000年に創設された比較的新しい制度です。創設以来20年を経過した2020年3月末時点で、65歳以上の被保険者数は約1.6倍、サービスの利用者数は約3.3倍となりました。

団塊の世代が75歳以上となる2025年が迫っています。75歳以上になると要介護等の認定を受ける方の割合が大きく上昇することから、団塊ジュニアの介護離職の増加が懸念されています。

少子高齢化による労働力不足に加え、介護離職が増加すると、企業経営に大きな影響を与えかねません。今後、介護離職を防ぎ介護と仕事の両立支援を進めるためには介護保険の知識は必須といえます。

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介護にはいくらかかる?

ゴールの見えないマラソンともいわれる介護。介護生活が始まると、体力面や精神面の負担だけでなく、経済的な負担も重くのしかかります。超高齢社会を迎え、介護を必要とする方は増加の一途。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降には、さらなる増加が見込まれています。今回は介護とお金についてみてみましょう。

介護期間と介護費用は?

介護期間と介護費用について、生命保険文化センターが行った調査があります。介護期間をみてみると、その平均は61.1か月(5年1か月)となりました。4年以上介護した割合は49.1%、10年以上は17.6%となっています。介護費用をみてみると、住宅改造や介護用ベッドの購入など一時費用は平均で約74万円、月々の費用は平均で約8.3万円となっています。

収入に応じた自己負担

介護が必要になった場合、通常は介護保険を利用することになるでしょう。介護保険を使うと、かかった費用の1~3割の自己負担で訪問介護やデイサービスなどの介護サービスが受けられます。また、介護ベッドや車いすなどの福祉用具も1~3割負担でレンタルできます。

介護保険の自己負担割合は年金収入等に応じて決められており、介護・要支援認定を受けた方には、毎年6~7月頃に市区町村から負担割合が記された証(負担割合証)が交付されます。

なお、特別養護老人ホームなど介護保険施設を利用する場合は、費用の1~3割の自己負担のほかに、居住費(部屋代)、食費、日常生活費の負担も必要です。居住費、食費、日常生活費については介護保険の対象外のため、全額自己負担になります。

実際の負担額は?

介護保険において、訪問介護やデイサービスなど居宅サービスを利用する場合、利用できるサービスの量(区分支給限度額)が要介護度別に定められています。

例えば、要介護度3の方は最大で270,480円までのサービスを受けることができ、自己負担割合が1割であれば1か月の負担は最大で27,048円となります。通常、居宅サービスを利用する際は、ケアマネジャーが本人の状況や家族の希望などを考慮して、区分支給限度額内でその方にあったケアプランを作成してくれます。区分支給限度額を超えて介護サービスを受けることもできますが、超えた分は全額自己負担です。

特別養護老人ホームなど施設サービスでは、要介護度や、個室か多床室(相部屋)かなどの違いによって負担額が変わります。例えば、要介護度5の方で自己負担割合が1割、特別養護老人ホームの多床室を利用した場合の1か月の自己負担(目安)は次の通りです。

「厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(サービスにかかる利用料)より

介護施設の場合、入居したいと思ってもすぐに入れるわけではありません。本人や家族の希望、経済的な面からどのような施設にするかの考えをまとめておき、余裕をもって情報収集や入居準備を進めたいものです。

介護保険には、利用者負担が過重にならないよう、高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費など負担を軽減する制度が設けられています。介護サービスを利用の際には、ケアマネジャーや施設からも説明はあると思いますが、念のため役所のパンフレットやHPでも確認しておきましょう。

老老介護と老老相続

高齢化が進んでいます。内閣府「令和3年版高齢社会白書」によると、令和2年10月1日現在、65歳以上人口は3,619万人で高齢化率は28.8%となりました。

高齢化率は今後も伸び続け、令和18 年には33.3%、国民の3人に1人が高齢者になると推計されています。令和 24 年以降は 65 歳以上人口が減少に転じますが、高齢化率はさらに上昇を続け、令和 47 年には 38.4%、国民の約 2.6 人に 1 人が 65 歳以上になると予測されています。

今後、老齢期における介護や相続への関心がさらに高まるでしょう。今回は、老老介護と老老相続についてみてみます。

老老介護の実態

老老介護という言葉を頻繁に目にするようになりました。高齢者が高齢者の介護を行うことで、一般に65歳以上の高齢夫婦や親子、兄弟間などでの介護をいいます。

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」から、老老介護といわれる年齢組合せ別の割合をみてみると、65歳以上同士でも、75歳以上同士でも上昇傾向となっています。

もう少し細かくみると、例えば、「70~79歳」の要介護者等では、「70~79歳」の者が介護している割合が56.0%、「80~89歳」の要介護者等では、「80歳以上」の者が介護している割合が25.1%、「60~69歳」の者が介護している割合が21.6%、「90歳以上」の要介護者等では、「60~69歳」の者が介護している割合が58.2%、「70~79歳」の者が介護している割合が18.4%などとなっています。

ひとりですべてを抱えない

年齢に関係なく、介護者の体力的、精神的負担は大きいといえますが、介護者が高齢であれば負担は一段と大きくなります。また、それまで家事全般を担っていた妻が突然倒れ、夫が介護することになれば、慣れない炊事、掃除、洗濯等を行わなければなりません。外出の機会も少なくなり、ストレスも増えるでしょう。

介護者の介護時間を要介護度別にみると、「要介護3」以上では、「ほとんど終日」が最も多くなっており、介護疲れから共倒れのリスクも高まります。介護保険サービスの適切な利用はもちろん、他の親族との協力体制や、介護保険外サービスの利用など、ひとりですべてを抱え込まない工夫が重要です。

老老相続とは

老老介護もいつかは必ず終わりを迎えます。そうなると発生するのが相続です。老老相続とは、亡くなった人(被相続人)と相続する人(相続人)がどちらも高齢者であるような相続をいいます。

高齢である相続人が複雑な相続手続きを行うことは容易ではありません。亡くなった方が高齢であればあるほど、配偶者はもちろん、子どもや兄弟姉妹も高齢である可能性が高いですから、今後、老老相続にまつわる様々な課題が社会的に関心を集めるでしょう。

財務省「説明資料〔資産課税(相続税・贈与税)について〕」をみてみると、「被相続人の高齢化が進んでおり、相続による若年世代への資産移転が進みにくい状況となっている」とあり、老老相続の増加は経済活性化の面からも懸念されていることが分かります。

老老相続の問題点は

同資料によると、亡くなった方が80歳以上である相続が大きく増加しています。

高齢者が亡くなり、相続人が「配偶者と子」であれば、亡くなった方が高齢であればあるほど、配偶者も子も高齢です。子が先に亡くなっている場合もあるでしょう。そうなると孫が相続人になります。また、相続人が「配偶者と兄弟姉妹」となる場合を考えても、亡くなった方が高齢であればあるほど、兄弟姉妹も高齢です。兄弟姉妹が先になくなっていれば、甥や姪が相続人になります。

このように、老老相続では、相続人を確定するだけでも複雑になりがちです。相続人を確定できても、親戚付き合いが希薄であれば、連絡先がわからないかもしれません。連絡先が分かっても、相続人の中に認知症の方がいるケースも考えられますから、そうなると相続手続きを進めるのは困難を極めます。

超高齢社会を迎え、様々な課題が出てきました。中でも、老老介護と老老相続への対応は喫緊の課題だといえます。介護も相続も突然起こります。誰にでも関係することですから、早い段階で両親の介護と相続、そして自分自身の介護と相続についても考え始めたいものです。

誰もが認知症になりうる時代

近い将来、認知症700万人時代が到来すると予想されています。

65 歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症となる計算で、今後、認知症はごくありふれた病気であるという認識が広がるのではないでしょうか。

こうした状況を背景に、地域における認知症高齢者の暮らしを支えるため、地域での安心・安全な生活を妨げる障壁を取り除く「認知症バリアフリー」が注目されています。

認知症高齢者が700万人

 認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します(厚生労働省HPより)。

アルツハイマー型認知症が最も多く、出来事全体を思い出せなくなる(全体記憶の障害)のが特徴です。

認知症高齢者数は、2012(平成24)年に462万人と推計されており、団塊の世代が75歳以上となる2025年には700万人を超え、団塊ジュニアが高齢者となる2040年には1000万人にも届く勢いです。

このように認知症高齢者の増加が見込まれる状況においては、認知症の方を単に支援が必要な人だと捉えるのではなく、認知症の方が認知症とともによりよく生きていくための環境を整えることが求められています。

認知症バリアフリーとは

認知症バリアフリーは、認知症になっても住み慣れた地域での暮らしができること、生活を妨げる障壁が取り除かれていることをいいます。

今年3月、厚生労働省において、「認知症バリアフリーに関する懇談会」が開催されました。

金融機関や鉄道会社、大手スーパーなどの取組が紹介されています。

民間企業であっても、地域の一員です。

企業の社会的責任に対する意識の高まりとともに、認知症バリアフリーへの取組はさらに活発になるのではないでしょうか。

民間企業においても積極的に行われている認知症サポーターの取得。

9月30日現在、全国で 11,922,018人 の認知症サポーターが誕生しています。

認知症サポーターの養成は、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指すための取組です。

個人でできる認知症バリアフリーの一環として、また、認知症に対する理解を深めるため、自治体や地域包括支援センターなどで行われている養成講座を受講してみてはいかがでしょうか。

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