老老介護と老老相続

高齢化が進んでいます。内閣府「令和3年版高齢社会白書」によると、令和2年10月1日現在、65歳以上人口は3,619万人で高齢化率は28.8%となりました。

高齢化率は今後も伸び続け、令和18 年には33.3%、国民の3人に1人が高齢者になると推計されています。令和 24 年以降は 65 歳以上人口が減少に転じますが、高齢化率はさらに上昇を続け、令和 47 年には 38.4%、国民の約 2.6 人に 1 人が 65 歳以上になると予測されています。

今後、老齢期における介護や相続への関心がさらに高まるでしょう。今回は、老老介護と老老相続についてみてみます。

老老介護の実態

老老介護という言葉を頻繁に目にするようになりました。高齢者が高齢者の介護を行うことで、一般に65歳以上の高齢夫婦や親子、兄弟間などでの介護をいいます。

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」から、老老介護といわれる年齢組合せ別の割合をみてみると、65歳以上同士でも、75歳以上同士でも上昇傾向となっています。

もう少し細かくみると、例えば、「70~79歳」の要介護者等では、「70~79歳」の者が介護している割合が56.0%、「80~89歳」の要介護者等では、「80歳以上」の者が介護している割合が25.1%、「60~69歳」の者が介護している割合が21.6%、「90歳以上」の要介護者等では、「60~69歳」の者が介護している割合が58.2%、「70~79歳」の者が介護している割合が18.4%などとなっています。

ひとりですべてを抱えない

年齢に関係なく、介護者の体力的、精神的負担は大きいといえますが、介護者が高齢であれば負担は一段と大きくなります。また、それまで家事全般を担っていた妻が突然倒れ、夫が介護することになれば、慣れない炊事、掃除、洗濯等を行わなければなりません。外出の機会も少なくなり、ストレスも増えるでしょう。

介護者の介護時間を要介護度別にみると、「要介護3」以上では、「ほとんど終日」が最も多くなっており、介護疲れから共倒れのリスクも高まります。介護保険サービスの適切な利用はもちろん、他の親族との協力体制や、介護保険外サービスの利用など、ひとりですべてを抱え込まない工夫が重要です。

老老相続とは

老老介護もいつかは必ず終わりを迎えます。そうなると発生するのが相続です。老老相続とは、亡くなった人(被相続人)と相続する人(相続人)がどちらも高齢者であるような相続をいいます。

高齢である相続人が複雑な相続手続きを行うことは容易ではありません。亡くなった方が高齢であればあるほど、配偶者はもちろん、子どもや兄弟姉妹も高齢である可能性が高いですから、今後、老老相続にまつわる様々な課題が社会的に関心を集めるでしょう。

財務省「説明資料〔資産課税(相続税・贈与税)について〕」をみてみると、「被相続人の高齢化が進んでおり、相続による若年世代への資産移転が進みにくい状況となっている」とあり、老老相続の増加は経済活性化の面からも懸念されていることが分かります。

老老相続の問題点は

同資料によると、亡くなった方が80歳以上である相続が大きく増加しています。

高齢者が亡くなり、相続人が「配偶者と子」であれば、亡くなった方が高齢であればあるほど、配偶者も子も高齢です。子が先に亡くなっている場合もあるでしょう。そうなると孫が相続人になります。また、相続人が「配偶者と兄弟姉妹」となる場合を考えても、亡くなった方が高齢であればあるほど、兄弟姉妹も高齢です。兄弟姉妹が先になくなっていれば、甥や姪が相続人になります。

このように、老老相続では、相続人を確定するだけでも複雑になりがちです。相続人を確定できても、親戚付き合いが希薄であれば、連絡先がわからないかもしれません。連絡先が分かっても、相続人の中に認知症の方がいるケースも考えられますから、そうなると相続手続きを進めるのは困難を極めます。

超高齢社会を迎え、様々な課題が出てきました。中でも、老老介護と老老相続への対応は喫緊の課題だといえます。介護も相続も突然起こります。誰にでも関係することですから、早い段階で両親の介護と相続、そして自分自身の介護と相続についても考え始めたいものです。