はじめに:年金に頼れないフリーランスの現状
フリーランスや個人事業主として働く方が増える中、「老後の資産形成」に対する不安の声も多く聞かれます。会社員と異なり、フリーランスは国民年金のみの加入となるので、将来受け取れる年金額は会社員と比べるとかなり少なくなります。加えて、退職金制度もありません。なので、自ら老後資金を準備する必要があります。
この記事では、自身もフリーランスである立場から、フリーランスや個人事業主が老後の資産形成を行ううえで知っておきたい制度や考え方、そして実際の対策方法を解説します。
フリーランスの老後資産形成、まず知っておきたい基本
国民年金と厚生年金の違いとは?
まず押さえておきたいのは、年金制度の違いです。会社員は「厚生年金」に加入しており、老後は国民年金と厚生年金の2階建てで年金を受け取れます。一方で、フリーランスは「国民年金」のみの加入となるため、将来の年金額は会社員と比べて大幅に少なくなります。
2025年度の年金額をみてみると、満額の国民年金を受け取った場合でも年間で約83万円(月額6万9千円程度)。これだけで老後を暮らすのは現実的ではありません。
自助努力が必要な理由
フリーランスの場合、会社員と違って、企業が退職金や企業年金を用意してくれることはありません。そのため、フリーランスは「自分で資産を形成し、老後に備える」ことが非常に重要になります。
FPが解説!資産形成に役立つ3つの制度
フリーランスが老後の備えとして活用できる代表的な制度は次の3つです。
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、自分で毎月掛金を積み立てて、老後に年金または一時金として受け取れる制度です。
大きなメリットは「掛金が全額所得控除の対象になる」こと。運用益も非課税で、給付を受け取るときにも税制上の優遇措置が講じられています。節税しながら資産を増やせるため、フリーランスにとって非常に相性の良い制度です。
運用商品は自分で選ぶ必要があるため、投資の知識やリスク管理も必要となりますが、長期的にコツコツ積み立てれば、大きな成果が期待できます。
「iDeCoがより活用しやすく! 2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説」(政府広報オンライン)
2. 小規模企業共済
中小企業の経営者やフリーランスが加入できる「退職金制度」のようなものです。毎月の掛金(1,000円〜7万円)は全額が所得控除の対象となり、節税メリットも大きいのが特徴です。
また、事業をやめたときや老後の受け取り方法も柔軟で、一時金・年金形式のどちらにも対応しています。
小規模企業共済とは(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)
3. NISA制度(新NISA)
2024年から大きく変わった「新NISA制度」も、老後資金の形成に活用できます。年間の投資額の上限が引き上げられ、非課税保有期間が無期限となったため、長期での資産運用に適しています。
株式や投資信託などを通じて資産を増やすことが可能で、老後までの時間を味方につけた「積立投資」が鍵となります。
NISA特設ウェブサイト(金融庁)
「NISA」って何?わかりやすく解説(政府広報オンライン)
実例紹介:個人事業主が実践する資産形成術
40代・50代から始めた人の事例
例えば、50代からiDeCoと小規模企業共済を併用して老後資金を積み立てている飲食店経営者のAさんは、月々の掛金合計を6万円に設定し、節税効果を実感しながら、老後の備えを着実に行っています。
また、40代でNISAによる積立投資を始めたライターのBさんは、「無理なくできる金額」で積立を継続し、10年後にまとまった資産が形成されつつあります。
毎月いくら積み立てればいい?
一般的に、老後に必要な生活費は月20〜25万円とされます。フリーランスが受け取る公的年金だけでは月10万円以上の赤字が生まれるため、少なくとも月3〜5万円の積立が望ましいです。
無理のない範囲で、「固定費感覚」で積み立てを始めることが、長続きするコツです。
よくある誤解と失敗しないためのポイント
節税だけを目的にしない
iDeCoや小規模企業共済は節税効果が高い反面、「元本割れリスク」や「途中解約の制限」があり、制度の特徴をしっかり理解したうえで活用することが重要です。
いずれの制度も、まとまった資金が必要な時にタイミングよく引き出すことができるわけでないので、注意してください。
なお、小規模企業共済には「共済契約者貸付」制度があります。
簡易迅速に貸付けが受けられる「一般貸付」と、特別な事情がある場合に貸付けが受けられる「特別貸付」がありますから、状況に応じて検討してみましょう。
リスク管理と長期視点が大切
株式や投資信託などの運用商品は元本保証がありません。市場の思わぬ変動により、含み損が発生してしまうこともあると思いますが、短期的な損益に一喜一憂せず、長期での成長を見据えた資産配分(アセットアロケーション)を心がけましょう。
まとめ:今すぐ始める資産形成の第一歩を
フリーランスにとって、老後資産の形成は「早く始めるほど有利」です。年金制度の仕組みや自助努力の重要性を理解したうえで、自分に合った制度を選び、まずは少額でも積立を始めましょう。
「将来が不安」と感じる今こそが、第一歩を踏み出すタイミングです。