40代・50代が知っておきたい公的年金制度の基礎知識

人生100年時代といわれる時代において、「老後の生活設計」は避けては通れない課題です。とくに40代・50代の方々は、定年退職後の生活を現実的に考え始める時期でもあり、年金制度についての正しい理解が重要だといえます。

しかし、「年金制度は複雑でよくわからない」「そもそも自分はいくらもらえるのか見当もつかない」といった不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、公的年金制度の基礎知識をわかりやすく解説し、今からできる備えについても紹介します。

公的年金制度とは?

日本の年金制度は「公的年金」と「私的年金」に大きく分けられますが、ここでいう「公的年金」とは、国が運営する年金制度のことです。原則として、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方が加入対象です。

公的年金制度は、主に次の2つの柱で構成されています。

● 国民年金(基礎年金)

日本に住むすべての方が加入する「基礎的な年金」で、老後に最低限の生活を支える役割を果たします。

  • 自営業者、フリーランス、学生、無職の方などが対象(第1号被保険者)
  • 保険料は定額制(2025年度は月額17,510円)
  • 保険料を40年間納めた場合、満額で月額約69,000円(2025年時点)
  • 老後は「老齢基礎年金」を受け取れる
● 厚生年金

会社員や公務員など、給与所得者が加入する年金です。基礎年金に上乗せされるかたちで支給され、収入に応じて保険料と将来の受給額が決まります。

  • 会社員や公務員などが対象(第2号被保険者)
  • 保険料は収入に応じて決定(負担は労使折半)
  • 老後は「老齢基礎年金+老齢厚生年金」の二階建てで受け取れる

なお、第2号被保険者に扶養される配偶者は第3号被保険者として国民年金に加入します。

公的年金の仕組み:世代間扶養

「自分が払った年金は将来返ってくる」と考える方も多いですが、公的年金制度は「賦課方式」と呼ばれる仕組みで運営されています。これは、現役世代が納めた保険料を、現在の高齢者への給付に充てる仕組みであり、「世代間扶養」といわれます。

将来、自分が高齢者になった時には、次の世代の現役世代が支える構図になります。この仕組みゆえに、少子高齢化が進む中で制度の持続可能性に関する議論も活発に行われています。

年金は何歳からもらえる?

原則として年金は65歳から支給開始となります。ただし、以下のように「繰上げ」や「繰下げ」の制度もあります。

  • 繰上げ受給(60〜64歳):早く受け取れるが、受給額は最大で24%減額
  • 繰下げ受給(66〜75歳):遅く受け取ると、受給額は最大で84%増額

老後の生活資金や健康状態を考慮し、自分にとって最適なタイミングを選ぶことが重要です。

もらえる年金額の目安

厚生労働省のモデルケースでは、夫婦2人で月額232,784円(2025年度)とされています(夫が厚生年金加入で平均的な収入、妻は専業主婦で国民年金のみの場合)。

厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

ただし、実際の受給額は以下の要因によって大きく変わります。

  • 保険料の納付期間(何年払ったか)
  • 年収(厚生年金の加入期間中の平均年収)
  • 働き方(パートや非正規雇用など)
  • 受給開始年齢(繰上げ・繰下げの有無)

自身の見込み額は、日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認可能です。

今からできる備えとは?

公的年金だけでは、老後の生活が不安なこともあるでしょう。40代・50代は、老後に向けた準備の「ラストチャンス」ともいえます。以下の対策を意識しておくことが大切です。

1. 年金記録の確認・整理

「ねんきんネット」で自分の納付状況を確認し、未納期間や不備がないかチェックしましょう。不明な点があれば、年金事務所で相談も可能です。

日本年金機構「ねんきんネット」

2. 働き方を見直す

厚生年金に加入できる働き方に変更すれば、将来の年金額を増やすことが可能です。たとえば、パートでも週20時間以上働けば厚生年金加入対象になるケースもあります。

厚生労働省「社会保険の適用拡大」

3. 私的年金や資産形成を始める

公的年金に加えて、iDeCoやつみたてNISAなど、税制優遇制度を活用した資産形成を検討しましょう。少額からでも中長期運用を意識すれば大きな支えになります。

iDeCo公式サイト

金融庁「NISA特設ウェブサイト」

4. 繰下げ受給を選択肢に

体力や健康に自信がある人は、繰下げ受給を検討することで年金額を増やすことができます。老後のライフプランに合わせて柔軟に判断を。

日本年金機構「年金の繰下げ受給」

まとめ

40代・50代の今こそ、将来の生活を左右する年金についてしっかり学ぶ時期です。年金制度は一見複雑に見えますが、基本を理解することで「自分の年金がどうなるのか」「どう備えるべきか」が見えてきます。

将来を漠然と不安に思うより、正しい知識を持って行動することが、安心した老後につながります。ぜひこの記事をきっかけに、自分の年金について見直してみてはいかがでしょうか。