はじめに——エンディングノートは「終わり」ではなく「これから」のために
「エンディングノート」という言葉を聞くと、「死の準備をするためのノート」という印象を持つ人も少なくありません。
しかし実際は、エンディングノートは“自分らしい人生を最後まで生きるための設計図”であり、「これから」を豊かにするためのツールです。
特に40代・50代は、まだ体力も判断力もある時期です。親の介護や自分の老後に向けた準備が現実味を帯びるこの時期にエンディングノートを書き始めることで、家族の負担を減らし、今後の人生の方向性も明確になります。
エンディングノートとは何か
遺言書との違い
遺言書は法的効力を持ち、主に財産の分配について記すものです。一方、エンディングノートは法的効力はありませんが、自由度が高く、自分の思いや希望を幅広く書き残せます。
例えば、
- 医療・介護に関する希望
- 家族や友人へのメッセージ
- ペットの世話の方法
- SNSアカウントやデジタル資産の管理方法
など、遺言書ではカバーできない領域まで残せます。
エンディングノートが注目される背景
内閣府の調査では、「自分の希望が家族に伝わらず後悔した」という介護・看取り経験者は約4割にのぼります。こうした経験から、事前に希望を書き残す重要性が高まっています。
エンディングノートを書くメリット
- 家族の負担軽減
医療や介護、葬儀に関する希望が明確になれば、家族が迷う時間や精神的負担を減らせます。 - 自分の意思を尊重できる
延命治療の有無や介護方針など、意思を伝えられない状況でも、自分らしい選択が実現します。 - 今後の人生の方向性が明確になる
書きながら「これから何を大切にして生きたいか」が見えてきます。 - 資産・情報の整理が進む
保険証券、預貯金、パスワードなどを一覧化することで、日常の管理もスムーズになります。
エンディングノートに書くべき項目
エンディングノートの形式は自由ですが、以下の項目を押さえると実用性が高まります。
基本情報
- 氏名、生年月日、本籍、住所
- 緊急連絡先(家族、友人、かかりつけ医)
医療・介護の希望
- 延命治療を望むかどうか
- 病院か在宅か、介護施設の希望
- かかりつけ医や持病の情報
財産・契約情報
- 銀行口座・証券口座・保険の契約内容
- 不動産の所有状況
- クレジットカードやローンの有無
デジタル資産
- SNSやメールのアカウント・パスワード
- ネット銀行や暗号資産の情報
- オンラインサブスクの解約方法
葬儀・お墓の希望
- 葬儀の形式(家族葬、直葬、一般葬など)
- お墓や納骨の希望(樹木葬、散骨など)
- 連絡してほしい人のリスト
メッセージ・思い出
- 家族や友人への感謝
- 人生の振り返り
- 写真や動画、手紙
書き方のポイント
一度で完璧に仕上げようとしない
エンディングノートは、人生の変化に応じて書き直す「更新型」が理想です。引っ越しや家族構成の変化、資産状況の変化があれば、その都度見直しましょう。また、毎年誕生日に見直しをしている方もいるようです。
家族と共有する
書いた内容は、信頼できる家族や友人に存在を知らせ、保管場所も共有します。銀行の貸金庫や耐火金庫、クラウドサービスを使う方法もあります。
自分らしさを出す
形式ばかりにこだわらず、写真やイラスト、手紙を添えても構いません。「自分の人生をどう生きたいか」を表現する場と考えましょう。
40・50代が今から始めるべき理由
- 判断力があるうちに意思を明確にできる
- 親の介護を経験する前に準備ができる
- 資産や契約の整理が早く進む
多くの人が「いつかやる」と先送りしていますが、元気なうちに書くからこそ意味があります。
まとめ——エンディングノートは「未来の自分」への贈り物
エンディングノートは、自分が人生の最終段階でどう過ごしたいかを明確にし、その希望を家族に伝えるための大切なツールです。
40・50代から書き始めることで、老後やもしもの時への備えだけでなく、「今をどう生きるか」も見えてきます。
1ページ目に書くべきは「これからの人生でやりたいことリスト」。
それが、エンディングノートを“終わりの記録”から“人生のデザインブック”へと変えてくれます。