「遺言書」と「エンディングノート」の違いとは?──今から始める人生の終活準備

親の介護や相続の話題が現実味を帯びてくる40代・50代。

「終活」や「相続」の情報を集める中で、「遺言書」と「エンディングノート」という言葉を目にすることが増えてきたのではないでしょうか。

この2つ、似ているようで目的や効力がまったく異なります。

ここでは、「遺言書」と「エンディングノート」の違いと使い分け方についてわかりやすく解説します。

まずは基本の定義から

◆ 遺言書(いごんしょ)とは?

法的な効力を持つ文書であり、亡くなった後の財産の分け方や意思を明確に示すものです。

  • 相続財産の配分
  • 誰に何をどれだけ相続させるか
  • 遺言執行者の指定
  • 特定の人に財産を残す(遺贈)
  • 相続人以外の人への支援 など

法的に有効な遺言書を残すことで、相続争いを防ぎ、家族の混乱を最小限に抑えることができます。

◆ エンディングノートとは?

自分の人生の記録や、残された家族への思い、死後の希望などを自由に書き留めておくノートです。

  • 自分史・思い出
  • 介護・延命治療の希望
  • 葬儀・お墓の希望
  • 保有資産の一覧
  • SNSやスマホのパスワード
  • 家族や友人へのメッセージ など

こちらは法的効力はありませんが、「家族への手紙」のような役割を果たします。

比較表でみる「遺言書」と「エンディングノート」の違い

項目遺言書エンディングノート
目的相続・財産分配などの法的指示自分の想いや希望を家族に伝える
法的効力あり(条件を満たした場合)なし
記載内容財産分配、遺贈、遺言執行者など葬儀希望、介護、思い出、連絡先、パスワードなど
作成方法自筆・公正証書など法的要件あり自由記述(フォーマットも自由)
保管場所公証役場・自宅・法務局など自宅・家族と共有
主な対象者相続人や法定関係者家族・友人・知人など広範囲

なぜ両方必要なのか?

どちらか一方で十分だと思われがちですが、実際には“両方セット”で活用するのが理想的です。

● 遺言書だけでは伝えきれないことがある

遺言書は法律に関する内容が中心で、たとえば「葬儀は質素にしてほしい」「この写真を棺に入れてほしい」といった想いや、友人や知人への感謝などは書く場がありません。こうした細やかな希望は、エンディングノートに記載することで家族に伝えられます。

● エンディングノートだけではトラブルになることも

エンディングノートに「全財産を長男に」と書いてあっても、それには法的効力がありません。他の相続人が異議を唱えると、遺産分割協議が必要になります。よって、財産分与や遺贈などの内容は、正式な遺言書に書く必要があります。

40代・50代からの活用法

「終活は高齢者のもの」と思われがちですが、突然の事故や病気は年齢を選びません。40代・50代のうちに次のような準備を始めることが大切です。

◆ ステップ1:エンディングノートから始める
  • 書店・文具店などで手に入る専用ノートを活用
  • 家族に伝えたいことを自由に書く
  • 医療・介護・連絡先・財産一覧なども記録
  • 定期的に見直し、更新する

🖋 ポイント:
書くことで自分の人生や価値観を整理することにもつながります。

◆ ステップ2:遺言書の作成を検討する
  • 財産が一定以上ある人
  • 子どもがいない、または再婚家庭の人
  • 相続でもめたくない人
  • 自営業や不動産所有者

上記に該当する場合、専門家の助言を得ながら公正証書遺言の作成をおすすめします。

どちらも“残された人への思いやり”

「遺言書」は家族を法的に守る盾、「エンディングノート」は家族の心を癒す手紙。

どちらも、自分がいなくなったあとに残された人が迷わず行動できるようにする思いやりのツールです。

何も準備をせずに亡くなれば、家族は遺産相続や手続き、葬儀の準備などを短期間で判断・対応しなければなりません。その負担は非常に大きなものになります。

「まだ先の話」と考えず、今のうちから少しずつ準備を始めることで、自分自身も家族も安心して人生を過ごすことができます。

まとめ

項目遺言書エンディングノート
法的効力ある(形式が重要)ないが家族への手紙として重要
主な内容財産・相続の配分医療・介護・葬儀・想いなど
目的相続を円滑に進める家族に想いを伝える・困らせないため

両方を併用することで、法的にも気持ちの面でも家族を支える終活が完成します。

いきなり両者を完成させることは難しくても、できることから、少しづつでも進めていきましょう。