以前のブログで「終活は人生を豊かにするための準備」とお話ししました。その準備を始めるにあたり、最初の一歩としてぜひ手に取っていただきたいのが、「エンディングノート」です。
「難しそう」「何から書けばいいの?」と感じる方も多いかもしれません。
でも、心配はいりません。エンディングノートは、法的な効力を持つ「遺言書」とは全く違う、もっと自由で、もっと個人的なノートなんです。
今回の記事では、エンディングノートがなぜ私たちに必要で、どのように書けばいいのかを、具体的な項目と書き方のポイントを交えてご紹介します。
1. エンディングノートは「人生の羅針盤」
エンディングノートは、もしもの時に備えて、自分の情報をまとめておくノートです。しかし、それだけの役割ではありません。
このノートの最大の価値は、「人生を振り返り、これからの生き方を考えるきっかけ」になること。
「どんな人生を送ってきたか」
「今、何を大切にしているか」
「これからどう生きていきたいか」
このノートに書き込む作業は、まさに自分自身と向き合う時間です。まるで、目的地へ向かう船が羅針盤を頼りに進むように、エンディングノートは、あなたらしい未来へ進むための道しるべとなってくれます。
2. 何を書く?書き方のポイントと具体的な項目
エンディングノートに決まった形式はありません。市販のノートを使うのも良いですし、手帳やルーズリーフに自由に書いてもOKです。大切なのは、あなたが心地よく、正直な気持ちで書けること。
ここでは、多くのエンディングノートに共通する、主要な項目と書き方のポイントをご紹介します。
項目①:自分自身の情報
まずは、自分の基本情報を整理します。これだけでも、もしもの時に家族の負担を大きく減らせます。
- 基本情報: 氏名、生年月日、住所、本籍地など。
- 連絡先: 親族、友人、かかりつけ医、専門家(弁護士、税理士など)。
- 大切な人へのメッセージ: 普段なかなか伝えられない感謝の気持ちなどを書き留めておきましょう。
項目②:財産に関すること
家族が困らないよう、資産の全体像を明確にしておきます。
- 銀行口座・証券口座: 銀行名、支店名、口座番号、パスワード。
- クレジットカード・電子マネー: 会社名、カード番号、決済情報。
- 保険証券: 生命保険、医療保険、火災保険など、加入している保険の種類と証券番号。
- 不動産: 所在地、権利証の保管場所。
- デジタル遺産: SNSアカウント、ブログ、オンラインショッピングサイトのIDとパスワード。
【ポイント】
全てを細かく書く必要はありません。まずは「どこに何があるか」の場所を記すだけでも十分です。また、パスワードは定期的に更新することを忘れずに。
項目③:医療・介護に関すること
あなたが望む医療や介護の形を書き記しておきます。これは、意思表示ができなくなった時の備えとして非常に重要です。
- 延命治療の希望: 延命治療を希望するか、しないか。
- かかりつけ医・希望する病院: 信頼している医師や病院があれば明記。
- 介護の希望: 誰に介護してほしいか、どのような施設に入りたいかなど。
- 臓器提供の意思: 臓器提供をするか、しないか。
【ポイント】
これらの項目は、家族や信頼できる人と事前に話し合っておくことが大切です。あなたの気持ちを理解してもらうことで、万が一のときに家族が迷わずに済みます。
項目④:葬儀・お墓に関すること
ご自身の死後について、希望する形を書き記します。
- 葬儀の希望: 家族葬、一日葬、直葬など、どのような形式が良いか。
- 埋葬方法の希望: お墓、樹木葬、海洋散骨など。
- お葬式で流してほしい音楽や、来てほしい人など。
【ポイント】
終活を始める年代であれば、ご自身の親や親戚の葬儀に参列する機会も増えてくるでしょう。その経験から「自分はこうしたい」というイメージが湧きやすいので、メモをしておくのがおすすめです。
3. エンディングノートを上手に活用するコツ
- 完璧を目指さない: 一度に全てを書こうとせず、書けるところから少しずつ進めていきましょう。
- 定期的に見直す: 自分の考えや状況は時間と共に変わります。1年に1回(例えば誕生日)など、定期的に見直す日を決めると良いでしょう。
- 保管場所を決める: 万が一の時に家族がすぐに手に取れる場所に保管し、その場所を伝えておくことが大切です。
まとめ:エンディングノートは「自分らしい人生の記録」
エンディングノートは、未来の自分、そして大切な家族へのメッセージです。
「まだ早い」と思う必要はありません。人生の折り返し地点を過ぎた今だからこそ、これまでの歩みを振り返り、これからの人生をどう生きたいかを考える最高の機会になります。
さあ、あなたも今日から、自分らしい人生の記録を始めてみませんか?