新年度となりました。
就職や転職、昇進・昇格などの季節です。ベースアップや昇給などもこの時期が一般的。
ぜひこの機会に、給与明細を再点検してみましょう。
まずは給与明細を見てみよう
給与明細は、通常、支給項目と控除項目に分かれます。
支給項目には、基本給○○円、通勤手当○○円、時間外手当○○円などと書かれています。
控除項目には、雇用保険料○○円、健康保険料○○円、 厚生年金保険料○○円、所得税○○円、住民税○○円などとなっています。
そして、その差額が差引支給額として支給されます(いわゆる手取り収入です)。
意外と安い?雇用保険
雇用保険は、失業した場合などに手当てが貰える保険です。
会社員の場合、基本的に会社からの給料が収入のすべてですから、雇用保険で失業に備えています。
保険料は、報酬(※)に保険料率を掛けて算出します。
平成31年4月現在の保険料率は、一般の事業で0.9%(労働者の負担は0.3%)です。
よって、雇用保険料は、報酬が300,000円でしたら本人負担は900円となります。
(※)基本給や住宅手当、通勤手当など、労働の対象として会社が払うもの
健康保険料は都道府県ごとに異なります
協会けんぽにおける健康保険料率は、都道府県ごとに毎年定められています。
平成31年度の保険料率は引き上げ22支部、据え置き7支部、引き下げ18支部となりました。
各都道府県の保険料率は、おおむね10%前後となっています。
保険料率は、地域の加入者の医療費に基づいて決められていますので、疾病予防などに積極的に取り組み医療費が下がれば、その分都道府県の保険料率も下がることになります。
健康保険料は、報酬を標準報酬月額表という等級表に当てはめて、その等級の標準報酬月額に保険料率を掛けて算出します。
保険料は労使折半で負担します。
例えば、報酬が300,000円の場合の標準報酬月額は300,000円ですので、健康保険料の本人負担は14,850円となります(東京都の場合:保険料率9.90%)。
なお、大企業等で健康保険組合を設立している場合は、その組合の保険料率となります。
介護保険は40歳から
介護保険は、年をとって介護が必要になった場合などに、介護サービスを受けられる保険です。
介護保険に加入するのは40歳からです。ですから、40歳未満の方は、給与明細を見ても介護保険料は控除されていません。
介護保険料率は全国一律で決められています。平成31年度の介護保険料率は1.73%。
保険料は、労使折半で負担します。
保険料の算出は健康保険と同様ですので、報酬が300,000円でしたら本人負担は2,595円となります。
なお、65歳以降の保険料は、各市町村が定めます。
負担の重い厚生年金保険料
厚生年金保険料率は、平成29年9月に18.3%で固定されています。平成31年度に保険料率の変更はありません。
厚生年金保険料も健康保険料と同様に労使折半ですが、その負担はかなり大きいといえます。
保険料の算出は健康保険と同様ですので、報酬が300,000円でしたら本人負担は27,450円です。
所得税は戻ってくる?!
所得税は、毎年1月1日~12月31日の所得に対して課税されます。
しかし、1年間が終わらないとその年の所得が確定できないので、扶養家族の有無や人数などにより概算で毎月の天引きを行っています(源泉徴収)。
見込みで源泉徴収をしていますので、1年間の所得が確定する年末に年末調整で精算します。
よって、多く払いすぎていた所得税は戻ってくることになります。逆に、不足していればさらに納めなければなりません。
ちなみに、所得税率は、その所得に応じて5%~45%です。
住民税は1年遅れでやってくる
住民税は、前年1年間の所得に対して課税されます。
ですので、今現在の収入に関係なく、1年前の所得に基づき決定された税額が毎月天引きされます。
転職して収入が下がった場合でも、住民税が安くなるわけではないので、注意してください。
ちなみに、住民税率は一律10%です。
以上のように、毎月の給料からは様々なものが引かれています。
高齢化の進展とともに社会保険料の負担(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の負担)は、今後さらに増えることが予想されます。
給料が上がらなくても、手取り収入は減っていく時代になりました。
一度じっくりと給与明細を確認して、今後のマネープランを考えてみてはいかがでしょうか。