介護といえば、つい「される側」に注目が集まりがちですが、忘れてはならないのが“介護する側”の健康です。
特に40代・50代は、仕事や家庭との両立が求められる中で親の介護が始まり、心身の疲れが蓄積しやすい年代です。介護が長期化する今、「自分の体と心を守ること」が、結果として良い介護につながるのではないでしょうか。
ここでは、介護を担う人が押さえておきたい運動・食事・休息のポイントをご紹介しましょう。
なぜ介護者の健康が大切なのか?
うつ病や介護疲れによる体調不良、介護うつなどにより仕事を続けられなくなり、離職してしまう人が年間で10万人ともいわれています。
介護は“体力勝負”だけではなく、“精神力勝負”でもあります。
以下のような悪循環に陥る前に、介護者自身の健康管理を意識することが必要です。
- 睡眠不足 → 疲れが取れずイライラ
- 栄養不足 → 免疫力低下・風邪をひきやすくなる
- 運動不足 → 体力低下・腰痛など
- ストレス → 心の余裕がなくなり、相手にキツく当たってしまう
運動:筋力・体力維持とストレス解消の両面で大切
介護は、立ち上がりの介助や入浴、排泄のサポートなど、身体的な負担が大きい作業が多くあります。そのため、介護者自身の体づくりが必要です。
毎日の中に軽い運動を取り入れる
気分転換もかねて、生活に軽い運動を取り入れてみましょう。
- ストレッチ:腰痛や肩こりの予防に。朝晩5分でもOK。
- ウォーキング:散歩がてら近所を歩く。買い物ついででも◎。
- スクワット・体幹トレーニング:介助の際の「踏ん張る力」をつける。
ポイント
- 無理なく継続できる内容を選ぶ
- 「ながら運動」(テレビを見ながら、歯磨きしながら)で習慣化
- 同じ姿勢を長時間続けない(こまめに体を動かす)
介護施設の職員も、腰痛予防のために筋トレをしているというほど、身体づくりは重要です。
食:バランスの良い食事で“介護疲れ”に勝つ
介護中は自分の食事が二の次になりがちですが、栄養が不足すると集中力も体力も落ちてしまいます。
忙しいときこそ「一汁一菜」を意識
- ご飯+味噌汁+副菜(野菜炒め、冷ややっこなど)でOK
- 毎食完璧を目指さず、冷凍食品や総菜も活用
- 魚・豆腐・納豆・卵など、たんぱく質を意識して摂る
体と心を整えるおすすめ食材
食材 | 効果 |
---|---|
バナナ | ストレス軽減・腸内環境改善 |
ヨーグルト | 免疫力アップ・整腸作用 |
鮭・イワシ | 脳の働きを高めるDHA・EPAが豊富 |
緑黄色野菜 | 抗酸化作用で疲労回復に効果的 |
体にやさしく、消化の良いものを中心に選び、暴飲暴食は控えるようにしましょう。ストレスからくる飲酒量の増加にも気を付けてください。
休息:質の良い睡眠が介護生活の土台に
睡眠不足は、心身に深刻な影響を与えます。特に夜間の見守りが必要な介護では、眠れない日が続くことで心身の疲れが蓄積しやすくなります。
良質な睡眠をとるための工夫
- 寝る1時間前にはスマホ・テレビをオフにする
- 寝る前に白湯を飲む、ストレッチをする
- 寝具や部屋の温度・湿度を整える
- 昼寝は15〜20分程度にとどめる(夜の睡眠の妨げ防止)
また、介護サービス(ショートステイやデイサービス)を使って「休息日」を意識的に設けることも大切です。「他人に任せる=無責任」ではありません。「任せる力」も、良い介護のひとつなのです。
心のケア:がんばりすぎない・ひとりで抱え込まない
介護は、正解のないストレスフルな状況が続きます。「自分が頑張らなければ」と抱え込みすぎると、限界を迎えたときに心が壊れてしまうことも。
心の健康を守るためにできること
- 同じ立場の人と話す(友人、介護経験者、SNSなど)
- 自分を褒める言葉を習慣化(「今日もよくやった」)
- 趣味やリフレッシュの時間をつくる
- 必要に応じてカウンセリングを受ける
「イライラしてもいい」「つらいと思ってもいい」——感情を否定せず、吐き出せる場所を持ちましょう。
介護を“続ける”には、自分をいたわることが大前提
「親のために」「家族のために」と頑張ることは素晴らしいことです。
けれど、自分の健康を犠牲にしてまでの介護は、長続きしません。介護が終わったあと、燃え尽きて体を壊す人も少なくありません。
だからこそ、「自分を大切にする」ことは、決してわがままではなく、介護を続けるための戦略です。
まとめ:自分を守ってこそ、いい介護ができる
介護は、想像以上に体力も気力も必要な活動です。
だからこそ、運動・食事・休息という「基本の健康管理」を大切にすることで、負担を減らし、より良い関係を築くことができます。
そして、自分の心と体をいたわることは、「介護者」としてではなく、ひとりの人間としての自分を大切にすることにもつながります。
がんばりすぎず、頼れるときは他人に頼りながら、無理のない介護生活を一歩ずつ進めていきましょう。