2023年度、介護保険の利用者がついに過去最多を記録しました。
厚生労働省が8月28日に発表した「介護保険事業状況報告(年報)」によると、要介護・要支援の認定者数は708万人に達し、初めて700万人を突破しました。
これは前年度より14万人の増加(+2.0%)であり、同時に、65歳以上の高齢者に占める認定者の割合も19.4%と過去最高を更新しています。
このニュース、どこか遠い世界の話のように感じるかもしれません。でも、実は40代・50代の私たちにこそ関係のある話です。
なぜなら、「介護」はある日突然やってくるものだからです。
75歳以上の増加と、避けられない介護の現実
高齢社会の進行に伴い、特に75歳以上の高齢者が急増しています。
要介護・要支援の認定を受けやすいのはこの年齢層であり、708万人という数字の背景には「団塊の世代」が75歳以上に突入している現実があります。
これにより、介護保険制度の利用者は今後ますます増えることが確実視されています。
介護保険の給付費も2023年度は10兆8,263億円と、こちらも過去最高。これは前年度から3,163億円の増加(+3.0%)であり、財政的にも制度の持続性が問われる段階にきています。
親の介護は、突然あなたの日常に入り込んでくる
仕事も家庭も一段落してきた40代・50代。しかし、ある日突然「親の介護」が日常に入り込んでくることがあります。
ある朝、実家に電話したら「転んで立てなくなった」と母が言う。病院に連れて行ったら、医師から「今後は在宅介護が必要になります」と言われる。
こうした状況は決して珍しくありません。特に最近は「介護のはじまり」が、突然かつ急に深刻化する傾向にあります。
介護と仕事の両立が難しい理由
介護が始まった時、多くの人が最初に悩むのが「仕事との両立」です。企業に介護休業制度があったとしても、「使いづらい」「同僚に迷惑をかけたくない」といった心理的ハードルが高く、十分に活用されていないのが現実です。
中には、親の介護のために仕事を辞める「介護離職」を選ぶ人も少なくありません。厚労省のデータでも、毎年およそ10万人が介護離職をしているとされており、特に40代・50代の働き盛り世代に集中しています。
今からできる「情報武装」と「心の準備」
では、どうすればいいのでしょうか?
まず大切なのは、介護保険制度の基本的な仕組みを知っておくこと。要介護・要支援の認定を受ければ、訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、ショートステイ、施設入所など、さまざまなサービスが利用できます。
費用の目安や、どこまでが保険適用かも含めて、概要だけでも知っておくと、いざという時に判断が早くなります。
地域包括支援センターを知っていますか?
また、もし親が「ちょっと最近元気がないな」と感じたら、地域の「地域包括支援センター」に相談してみるのもひとつの手です。
これは各市区町村に設置されている高齢者支援のワンストップ窓口で、介護保険の手続きや相談、ケアマネジャーの紹介など幅広く対応してくれます。「まだ介護までは必要ないけど…」という段階でも、情報収集の場として活用できます。
介護は「家族のチーム戦」になる
もう一つ重要なのが、「家族で事前に話し合っておくこと」です。兄弟姉妹との役割分担、費用負担、施設利用の希望など、「その時」が来てからでは冷静な判断ができません。
とくに兄弟間の意見の食い違いがトラブルになりやすく、介護が原因で家族関係が悪化するケースも珍しくありません。
介護を家族で支えるには、「何をどう決めておくべきか」をあらかじめ考えておくことが大切です。
介護の話を「縁起でもない」で終わらせない
介護の話題になると、多くの方が「まだうちは大丈夫」「そんな話をすると悪いことが起きそう」と敬遠しがちです。でも実際は、話しておいた家庭ほど、いざという時の混乱が少ないです。
介護の準備とは、「不安を煽る」ためのものではなく、「安心を作る」ためのプロセスです。
まとめ:いまこそ、人生後半の備えを
介護の現実が数字として明らかになった今、私たち40代・50代がやるべきことははっきりしています。
- 介護保険制度を知る
- 親の健康状態に関心を持つ
- 家族と情報共有する
- 地域の支援窓口を把握する
これらは、未来の「自分を助ける準備」にもつながります。自分が介護する側にも、される側にもなる可能性があるからです。
介護を「突然のトラブル」にしないために、今日このブログを読んだこの瞬間から、少しずつ意識を変えていきませんか?
あなたとあなたの家族が、安心して人生後半を迎えられるように。
今できる準備を、今日から始めましょう。