人生100年。年金は大丈夫か!?

高齢者人口が過去最多を更新しました。

総務省統計局によると、今年9月15日現在の65歳以上人口(推計)は3,588万人、総人口に占める割合は28.4%となっています。

この割合は今後も上昇を続け、2025年には30.0%、2040年には35.3%になると見込まれており、老後の年金不安が高まります。

年金制度は大丈夫なのでしょうか。

今年8月、将来の公的年金の財政見通し(財政検証)が公表されていますので、その内容をみてみましょう。

年金財政の健康診断 

老後の主な生活資金である公的年金。

現役時代に保険料を支払い、高齢期に年金として受け取るものですが、支払った保険料が自身の老後のために積み立てられているわけではありません

日本の年金制度は賦課方式といわれ、現役世代が高齢世代へ仕送りする仕組みとなっています。現在の高齢世代を現在の現役世代が支えるものですから、今後ますます進むと予想される少子高齢化が年金制度に与える影響は小さくありません。

そこで、社会・経済の変化を踏まえ、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証するため、5年ごとに財政検証が行われています。

財政検証とは、いわば年金財政の定期健康診断といえるでしょう

額ではなく価値の保障

財政検証におけるキーワードは所得代替率です。

公的年金には、額ではなく一定の価値を保障するという考え方がありますから、現役世代の手取り収入に対する割合で年金の給付水準が定められています。

具体的には、夫婦2人の年金額がそのときの現役世代(男子)の手取り収入に対してどれくらいの割合かを表します。

所得代替率50%といった場合は、現役世代(男子)の手取り収入の50%を夫婦2人で年金として受け取れるということです。

楽観的でも51.9%

2019年度の所得代替率は61.7%でした。

現役世代(男子)の手取り収入35.7万円に対して、夫婦2人で22万円の年金を受け取っている計算です。

財政検証では、「経済成長と労働参加が進むケース」や「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」など、経済状況等に応じた6つのケースで今後の試算をしています。

楽観的なケースでも所得代替率は50%を少し上回る程度になっており、厳しい状況がみて取れます。

現在、少子高齢化が進行する中、現役人口の減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みが設けられています(マクロ経済スライド)。

物価や賃金が上昇したとしても、年金額の上昇は抑えるという制度で、今年度の年金額にも適用されました。

年金制度そのものがなくなるとは思われません。

しかし、制度が維持されたとしても将来的に年金給付が減少するのは確実です。年金収入だけに頼らず、自助努力も含めた老後設計が求められているのではないでしょうか。

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