超高齢社会を迎え、定年延長や定年後再雇用が当たり前の時代となりました。働くことで社会とのかかわりを保ちたいと考える方も多くなり、健康で働くことへの関心が高まっています。
基本的に、健康で働く責任は労働者にあるとされておりますが(自己保健義務)、会社にも、労働者が健康で働くことができるように、一定の配慮が求められているところです(健康配慮義務)。
通常、会社においては健康診断を行うことなどにより労働者の健康管理に取り組んでいるところですが、より適切な健康管理を行うためには、過重労働の防止や、メンタルヘルス対策などを含め、労務管理と健康管理をうまく融合させることが必要であるといえます。
厚生労働省「令和3年高年齢者雇用状況等報告」によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.7%。ほとんどの企業において65歳までの雇用確保措置が講じられています。しかし、平均寿命が延び、人生100年時代といわれる中、労働力人口に占める 65 歳以上の方の比率は上昇しています。内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、令和3年におけるその割合は13.4%となりました。
令和3年4月には高年齢者雇用安定法が改正されています。65歳から70歳までの就業機会確保措置を講ずることが企業の努力義務とされたことから、65歳以降も働く人はさらに増えるのではないでしょうか。なお、「雇用確保」ではなく「就業機会確保」となっているのは、業務委託契約や社会貢献事業への従事(有償ボランティア)が含まれているからです。
【65歳から70歳までの就業機会確保措置】
・70歳までの定年引上げ
・70歳までの継続雇用制度の導入
・定年制の廃止
・70歳までの継続的な業務委託契約
・70歳まで社会貢献事業に継続的に従事できる制度
特に中小企業においては65歳を超えて働き続けている方も多く、高齢労働者の労務管理と健康管理には、会社として多くの注意が必要です。一般に再雇用者は嘱託とよばれることも多いと思いますが、嘱託規程や再雇用規程に、健康管理面からのルールを入れることなどが考えられます。通常、高齢労働者は、現役時代とは体力も気力も違うわけですから、現実に即した労務管理と健康管理を考えてゆきましょう。