親の介護度に応じたサービス選択のポイント

親の介護が始まったとき、最も頭を悩ませるのが「どのサービスを、どの程度利用すべきか」という判断です。介護保険制度では、本人の状態に合わせて、「要支援1〜2」、「要介護1〜5」の7段階に区分されますが、この度合いによって受けられるサービスの内容や支給限度額が大きく異なります。

無理のない介護生活を続けるためには、現在の区分で何ができるかを正しく知り、親の自立支援とあなた自身の生活維持のバランスを最適化する視点が不可欠です。

要支援・軽度(要介護1〜2):自立を支え、悪化を防ぐ選択

要支援や要介護1・2といった比較的軽度の段階では、本人ができることを奪わないサービス選択が重要です。この時期の目標は、施設への入所を先延ばしにし、住み慣れた自宅での生活を一日でも長く維持することにあります。

具体的には、週に数回のデイサービス(通所介護)で社会的な交流を持ち、脳と身体に刺激を与えることが有効です。また、手すりの設置や段差解消といった住宅改修、歩行器のレンタルなどを早めに行うことで、転倒による寝たきりリスクを下げることができます。この段階では、家族がすべてを肩代わりするのではなく、福祉用具やリハビリを組み合わせて本人の力を引き出すマネジメントを意識しましょう。

中等度(要介護3):専門的なケアと家族の休息の確保

自力での立ち上がりや排泄が困難になり始める要介護3の段階では、介護の負担が一段と重くなります。ここでのポイントは、身体的介助をプロに委ね、家族が介護離職に追い込まれないための体制を固めることです。

訪問介護(ホームヘルパー)による入浴や排泄の介助を定期的に組み込むとともに、ショートステイ(短期入所生活介護)を計画的に利用しましょう。ショートステイは、親が施設に宿泊することで、介護を担うあなたが数日間、心身をリフレッシュするために欠かせないサービスです。まだ家で頑張れると限界まで抱え込まず、定期的にプロに任せる日を作ることで、長期戦となる介護を乗り切る持続可能性が生まれます。

重度(要介護4〜5):包括的なサポートと場所の再検討

寝たきりの状態や、激しい認知症状が見られる要介護4・5の段階では、24時間体制での見守りや高度な介助が必要となります。自宅での介護を続ける場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など、夜間を含めて頻繁にプロが訪問してくれるサービスの利用が必須です。

一方で、この段階は在宅介護の限界を冷静に見極める時期でもあります。特別養護老人ホームなどの施設入所を選択肢に加え、本人にとって最も安全で、かつ家族の生活が崩壊しない環境を再定義する必要があります。施設への入所は見捨てたということではなく、専門的な設備と人員が整った環境で、親に安全な生活を提供するための最善の選択であると捉え直す勇気が求められます。

ケアマネジャーをパートナーに最適解を更新する

介護度は時間の経過とともに変化します。一度決めたサービス内容に固執せず、親の状態に合わせて柔軟に最適解を更新し続けることが大切です。

その際の最高のパートナーがケアマネジャーです。彼らに現在の困りごとや、あなたの仕事の状況を正直に伝え、今の介護度に最も適したプランを提案してもらいましょう。親の尊厳を守りながら、あなた自身の人生も守る。その両立を目指すことこそが、最も賢いサービスの選び方です。

現在の親の状態をメモにまとめ、ケアマネジャーに今のプランで自分の負担を減らす余地があるかを相談してみることから始めてみませんか。