仕事とキャリアの円熟期にあるミドル世代にとって、介護と仕事の両立は、時間という限られた資源をいかに戦略的に配分するかという高度なマネジメントだといえます。ビジネスパーソンとして培ってきたタイムマネジメントのスキルを、今こそ私生活の危機管理に応用すべきでしょう。
両立を成功させる秘訣は、自分ですべてをこなそうとする努力ではなく、外部のリソースを組み込んで仕組み化する設計力にあります。
ケアマネジメントをスケジュールに組み込む
介護が始まると突発的な事態に時間を奪われがちになります。これを防ぐためには、介護に関わるタスクをイレギュラーな出来事としてではなく、あらかじめ確定したスケジュールとして管理する意識が必要です。
具体的には、ケアマネジャーとの定例面談やサービス担当者会議、通院の付き添いなどは、数ヶ月先までカレンダーに登録し、その周辺の仕事量を調整します。また、一日のうち親の様子を確認する時間や介護サービスの連絡を処理する時間を固定枠として確保しておくことで、仕事中に介護の心配をして集中力が途切れるのを防ぎ、生産性を維持することに繋がります。
デジタルツールによる情報伝達の効率化
ビジネスケアラーにとって、情報のやり取りにかかる時間は意外な盲点です。親の状況を家族や専門家と共有するために、電話や対面での報告を繰り返していては時間はいくらあっても足りません。
これを解決するために、親族間でのチャットアプリ活用や、ケアマネジャーとのメール・共有アプリによる連絡を標準化しましょう。情報を一箇所に集約し、非同期でやり取りできる環境を整えることで、移動中や隙間時間での状況把握が可能になります。この情報の非同期化こそが、仕事の会議や締め切りと介護の連絡が衝突するのを回避する最強のタイムマネジメント術となります。
自分の時間を聖域化する重要性
両立における最大の失敗は、仕事と介護で24時間を埋め尽くし、自身の休息時間を削ってしまうことです。疲弊した状態では判断力が鈍り、仕事でも介護でもミスを招く悪循環に陥ります。
タイムマネジメントの真の目的は、一日のうち最低でも30分から1時間は自分のためだけの時間を聖域として確保することにあります。この時間を守るために、デイサービスの延長利用やショートステイ、あるいは民間の家事代行サービスを戦略的に利用してください。外部コストを支払ってでも自分の時間を買うことは、長期戦となる両立生活を支えるための最も費用対効果の高い投資であると捉えるべきです。
両立は70点の継続を目指す
仕事も介護も100点を目指すタイムマネジメントは、早晩破綻します。ビジネスケアラーに求められるのは、どちらも及第点を維持しながら、途切れさせることなく継続する力です。
まずは一週間のスケジュールの中で介護のために使っている時間をすべて書き出してみることから始めてみましょう。時間の使い方を可視化することで、どこを外部サービスに委ねられるか、どこを効率化できるかという改善点が見えてくるはずです。
