社労士が解説する!法定労働時間の基本と守るべきポイント

働き方改革やテレワークの普及により、労働時間の管理に対する関心が高まっています。その中でも、労働基準法で定められた「法定労働時間」は、企業経営者・労務担当者がまず押さえておくべき基本中の基本です。

この記事では、社労士が「法定労働時間とは何か」「守らなければどうなるのか」など、押さえておくべき重要ポイントをわかりやすく解説します。

■ 法定労働時間とは?

法定労働時間とは、労働基準法で定められた、1日および1週間あたりの労働時間の上限のことを指します。現在の労働基準法では、以下のように定められています。

  • 1日8時間以内
  • 1週40時間以内

この範囲を超える労働を行わせる場合は、労使協定(いわゆる「36協定」)の締結と届出が必要になります。たとえ本人が希望して長時間働いたとしても、企業側が法定労働時間を超えて労働させた場合には、違法となる可能性があるのです。

■ 法定労働時間と所定労働時間の違い

「法定労働時間」と混同されやすいのが、「所定労働時間」です。所定労働時間とは、企業が就業規則や雇用契約などで定めた、1日の通常の勤務時間を指します。

例えば、法定労働時間が「1日8時間」でも、企業によっては「1日7.5時間勤務」としている場合があります。この場合の「7.5時間」が所定労働時間となります。

ポイントは、所定労働時間が法定労働時間を超えることはできないという点です。法を上回る拘束を企業が定めることはできません。

■ 変形労働時間制とは?

業種によっては、季節や時期によって、1日の労働時間が長くなったり短くなったりするケースもあります。その場合に使われるのが「変形労働時間制」です。代表的なものは以下の3つです。

  • 1か月単位の変形労働時間制
  • 1年単位の変形労働時間制
  • フレックスタイム制

これらの制度を導入することで、1日8時間を超える勤務があっても、平均して週40時間以内であれば違法とならないケースがあります。ただし、制度導入には就業規則の整備や労使協定の締結が必要です。

■ 法定労働時間を超えた場合のリスク

法定労働時間を超えて労働させた場合、企業にはさまざまなリスクがあります。

  1. 残業代の未払いが発生する
  2. 労働基準監督署の指導・是正勧告を受ける
  3. 悪質な場合は刑事罰の対象となる
  4. 労働者との信頼関係の悪化、離職の増加

特に近年は労働トラブルが起きた際に、SNSや口コミで企業名が拡散されるリスクもあるため、コンプライアンス意識の徹底が求められます。

■ 社労士がアドバイス!労働時間管理のポイント

社労士としての立場から、企業が法定労働時間を正しく管理するためのポイントをお伝えします。

  • 勤怠システムの導入で正確な労働時間を把握する
  • 就業規則を最新の法令に基づいて見直す
  • 36協定の内容を正しく理解し、届出を怠らない
  • 管理職にも労務管理の知識を浸透させる

これらを実行することで、労務トラブルの予防だけでなく、働きやすい職場環境の構築にもつながります。

■ まとめ

法定労働時間の正しい理解と管理は、企業の信頼性を守るうえで欠かせない要素です。ルールを守ることはもちろん、従業員が安心して働ける環境を提供することが、企業の成長と持続可能性を支えるカギとなります。

「うちは大丈夫だろう」と思わず、今一度、自社の労働時間管理体制を見直してみましょう。